シリーズまとめ:これからの高齢者歯科
〜安心して年齢を重ねるために大切なお口の話〜
こんにちは、リキタケ歯科医院です。
今回はこれまで6回にわたってお届けしてきた「高齢者と歯科医療」についてのブログを、1本にまとめて読みやすくご紹介します。
日本は世界でも有数の「超高齢社会」。
年齢を重ねても笑顔で、食事を楽しみ、自分らしく暮らしていくために、歯科医療ができることを一緒に見ていきましょう。
【目次】
第1章 高齢化とともに見直される歯科の役割
第2章 「通えない」方にも歯科を届ける時代へ
第3章 薬が飲みにくい?それもお口のサインかも
第4章 飲み込みの変化、見逃さないで!
第5章 支える歯科医療へ。訪問と連携の取り組み
第6章 歯が残る時代に増える、新たなリスク
まとめ:お口から、安心して年を重ねる未来へ
第1章 高齢化とともに見直される歯科の役割
日本の高齢化率はすでに29%を超え、今後は40%にまで上昇すると予測されています。
高齢になると、むし歯や歯周病のリスクが高まるだけでなく、唾液の分泌が減り、誤嚥性肺炎などのリスクも増えてきます。
ところが、75歳を過ぎると歯科の受診率は低下する傾向にあります。
「もう歯医者はいらない」と思われがちですが、高齢期こそお口の健康が生活の質(QOL)に直結する時期なのです。
第2章 「通えない」方にも歯科を届ける時代へ
高齢になると、体調や生活環境の変化により「歯科に通えない」という方が増えてきます。
そこで大切になるのが「在宅歯科医療(訪問歯科)」です。
歯科医師がご自宅や施設に訪問し、以下のようなケアを行います。
- むし歯・義歯の治療
- 口腔ケアやお口のリハビリ
- 食べる・飲み込む力のチェック
また、「オーラルフレイル(お口の老化)」を早めに見つけ、予防する取り組みも注目されています。
第3章 薬が飲みにくい?それもお口のサインかも
年齢を重ねると、薬の錠剤を飲み込むのが難しくなる「錠剤嚥下障害」という症状が出ることがあります。
- 錠剤が喉や胸につかえる
- 口に薬が残っている
- 薬を飲むのが怖くなる
このような変化は、誤嚥や栄養不足、薬の効果の低下にもつながる可能性があります。
歯科でも、こうした悩みについてサポートが可能です。薬局や医科とも連携しながら、安心できる服薬環境を整えていきます。
第4章 飲み込みの変化、見逃さないで!
飲み込みにくさは、本人が気づきにくいものです。
- むせることが増えた
- いつまでも口の中に何かが残る感じがする
- 飲み込むのに時間がかかる
こんな変化があるときは、「PILL-5」というチェック表を使って評価したり、飲み込みを助けるゼリーや剤形変更などの対策が有効です。
飲み込みの力=命を守る力でもあります。早めの相談が大切です。
第5章 支える歯科医療へ。訪問と連携の取り組み
リキタケ歯科医院では、「通院が難しい方」にも寄り添える体制を整えています。
- 歯科技工士が院内に常駐 → 義歯の修理も即対応
- 管理栄養士による栄養サポート → 食べやすく、飲み込みやすい食事提案
- 訪問歯科診療 → ご自宅・施設・病院へ
「治す」だけでなく、「支える」ことが歯科の新しい役割です。
多職種が連携して、高齢者の生活全体を見守ります。
第6章 歯が残る時代に増える、新たなリスク
「80歳で20本の歯を残そう」という8020運動が広がり、多くの方がたくさんの歯を残せるようになりました。
けれども、歯があるからこそ…
- 磨き残しやプラークが溜まりやすくなる
- 根っこ部分のむし歯(根面カリエス)ができやすい
- 「噛めるけど飲み込めない」ことが増える
といった新たなリスクも出てきます。
そのために必要なのが「医療・歯科・栄養・介護」の多職種連携です。
まとめ:お口から、安心して年を重ねる未来へ
高齢になっても、笑って食べられる日々を続けるために、歯科はできることがたくさんあります。
- 歯を残すだけでなく、「使える」「守れる」ケアを
- 噛む・飲み込む力を支える診療を
- チームで高齢者の生活をサポート
これからも私たちリキタケ歯科医院は、地域の皆さまの暮らしに寄り添い、安心して年齢を重ねられるお口の環境づくりを大切にしてまいります。