第2回 地域包括ケアと歯科のかかわり
こんにちは。
前回は、高齢者が増える中で歯科医療の必要性がますます高まっているというお話をしました。今回は、その中でも特に注目されている「地域包括ケアシステム」と「在宅歯科医療」についてご紹介します。
【目次】
1)地域包括ケアシステムってなに?
2)おうちでも歯科診療が受けられる時代に
3)「お口の老化」=オーラルフレイル対策も重要です
4)まだまだ十分に活用されていない現状
5)まとめ:歯科も地域を支える時代へ
1)地域包括ケアシステムってなに?
簡単に言うと、「高齢者が住み慣れた場所で、自分らしく生活を続けられるように、医療や介護、福祉がチームで支える仕組み」です。
この中で歯科が果たす役割もとても大きくなっています。特に大切なのが…
- 在宅での歯科診療(訪問歯科)
- 口の機能の衰え(オーラルフレイル)への対応
この2つが、高齢者の健康を守るカギになっています。
2)おうちでも歯科診療が受けられる時代に
通院が難しい方のために、歯科医師がご自宅や施設に訪問する「在宅歯科医療」。
近年、国もこの体制を強化しており、診療報酬の見直しや、地域連携の仕組み作りが進んでいます。
実際に、全国の約97%の市町村が「在宅歯科医療の拠点を医療計画に盛り込みたい」と答えているという調査もあり、地域全体での取り組みが進んでいることが分かります。
3)「お口の老化」=オーラルフレイル対策も重要です
オーラルフレイルとは、口の機能が少しずつ衰えていく状態のこと。
「食べづらい」「飲み込みにくい」「話しにくい」といった症状が、全身のフレイル(虚弱)へとつながってしまう可能性があります。
国や自治体では、さまざまな取り組みが始まっています。
- 後期高齢者歯科健診(リキタケ歯科医院でも実施)
- 訪問歯科健診(豊島区歯科医師会がご自宅や施設で実施)
- 介護予防の口腔機能向上プログラム
- 地域の歯科衛生士による高齢者支援 など
これらの対策を上手に活用すれば、年齢を重ねても元気に「食べる・話す・笑う」ことができるのです。
4)まだまだ十分に活用されていない現状
ただし、こうした制度や支援が整っていても、実際には地域で活用しきれていないケースも多くあります。
- 市町村の高齢者担当部署に歯科の専門職が少ない
- 財源があっても効果的に使えていない
- 必要な情報が高齢者や家族に届いていない
このような課題を解決するには、歯科医院や歯科医師会が地域と積極的に連携していくことが欠かせません。
5)まとめ:歯科も地域を支える時代へ
かつて「歯科は歯だけを診る場所」だったかもしれません。
しかしこれからは、歯科が生活を支える医療になっていきます。
- 通院できない方には、訪問診療を:豊島区歯科医師会が行っています
- 嚥下や栄養が心配な方には、チームでのケアを:豊島区アゼリア診療所で行っています
- 地域全体で「お口の健康」を守る体制を
