【歯科医の目線で見た最新タバコ事情とお口の健康への影響】
2025年3月、「喫煙ルーム」が街から消えました。
ここ数年、日本では禁煙の流れが加速しています。2025年3月には、すべての幹線道路沿いから「喫煙所」が撤去されました。
喫煙者の数はこの50年で減少していますが、代わって増えているのが「新型タバコ」と呼ばれる加熱式タバコや電子タバコです。
これらは「煙が出ないから体に優しい」と思われがちですが、果たして本当にそうなのでしょうか?
皆様の健康の維持のためには大切な選択肢になりますので、それぞれのタバコの特質について説明していきたいと思います。
【目次】
1)喫煙率は減っているのに…新型タバコが急増中!
2)新型タバコの種類と特徴
3)歯科の視点:お口への影響は?
4)よくある質問(Q&A)
5)歯科医院でできる「簡単な禁煙サポート」
6)まとめ
7)≪番外編≫ 浦島太郎が見たタバコの未来
1)喫煙率は減っているのに…新型タバコが急増中!
厚生労働省の調査によると、日本の喫煙率は男性で27.1%、女性で7.6%と徐々に下がっています。
しかし、新型タバコを使う人は2016年以降急増し、今ではタバコ利用者の4人に1人が加熱式を使っている状況です。
特に20~40代の若い世代での使用率が高く、中高生による使用も報告されており、「紙巻きタバコへの入り口になってしまう(ゲートウェイ効果)」ことが懸念されています。
2)新型タバコの種類と特徴


1.新型タバコは「安全」とは言い切れない理由
見た目もスタイリッシュで、煙も少ない新型タバコですが、「体に害がない」とは言えません。
2.加熱式タバコの懸念点
- 一酸化炭素やタールは少ないが、発がん性物質や有害成分は含まれる
- 歯ぐきの血流を悪化させ、**歯周病を悪化させる可能性**
- 他人の健康にも影響(受動喫煙)がある
3.電子タバコの懸念点
- 甘い香りのリキッドにより虫歯や口内環境の悪化の可能性
- 一部の製品では、**紙巻きタバコよりも有害物質が多い**というデータも
3)歯科の視点:お口への影響は?

4)よくある質問(Q&A)
Q1:紙巻きから加熱式に変えれば、健康リスクは減りますか?
A1:減るとは言い切れません。
一部の有害成分は少なくなっても、**歯周病や口腔がんなどのリスクは残ります**。禁煙を目指す方には「切り替え」ではなく、「完全な禁煙」をおすすめします。

Q2:電子タバコはニコチンがないなら安全ですか?
A2:安全とは言えません。
リキッドの加熱により発がん性物質が発生することもあり、お口の中の細菌バランスが崩れる可能性もあります。

5)歯科医院でできる「簡単な禁煙サポート」
当院では、患者さんとの対話の中で無理のない形で禁煙支援を行っています。
- 治療時にタバコと歯の健康の関係をお話し
- 禁煙補助薬や医科の禁煙外来のご紹介
- 継続して通院される方へのフォローアップ支援
禁煙に興味があるけれど一歩踏み出せない…そんな方こそ、お気軽にご相談ください。
6)まとめ
- 新型タバコは「安全なタバコ」ではありません
- 歯や歯ぐきへの影響も大きく、放置すると治療の効果も下がってしまいます
- 歯科医院では、気軽にできる禁煙支援を行っています
【ご相談はお気軽にどうぞ】
お口の中から始める健康づくり、一緒に始めてみませんか?
当院では、インプラント治療や歯周病予防など、タバコの影響が気になる治療にも丁寧に対応しています。
7)≪番外編≫
【浦島太郎が見たタバコの未来】 ~加熱式タバコの功罪とは?~
【はじめに】
最近、「加熱式タバコは体に優しい」と思っていませんか?
火を使わず、においも少ないことから、「従来のタバコより安全」と信じている方も多いかもしれません。
今回は、昔話「浦島太郎」の世界にたとえて、**加熱式タバコと葉タバコの違い**や、その**知られざるリスク**について、わかりやすくご紹介します。
■ 竜宮城の悩みは「煙」だった?
浦島太郎が亀を助けて連れていかれた竜宮城――
そこではごちそうや踊りが絶えず、夢のような世界が広がっていました。けれど、乙姫様が一つだけ悩んでいたのです。
> 「最近、城のあちこちで“煙”のようなものが漂っていて困っているのです」
それは、従来の紙巻きタバコ(葉タバコ)と、最近流行している加熱式タバコのせいでした。
■ 加熱式タバコと紙巻タバコの違いとは?
乙姫様が説明してくれました。

浦島太郎は思わず言いました。
「においが少ないなら、加熱式の方が安全なのでは?」
けれど乙姫様は首を振りました。
■ 加熱式タバコは“玉手箱”かもしれない
加熱式タバコは「煙が出ないから安心」と思われがちです。しかし、それが落とし穴。本当は有害物質やニコチンを含み、依存や健康被害のリスクもあるのです。
とくに最近は、非喫煙者や若者にも「目立たないから」と広がりやすく、社会全体に悪影響を与える“新しい玉手箱“になりつつあります。
■ 歯科医師の立場から見た加熱式タバコのリスク
歯科の観点から見ても、加熱式タバコは決して安全ではありません。
- 歯周病のリスク増加
血流が悪くなり、歯ぐきの炎症が悪化しやすくなります。 - インプラント治療の成功率が低下
骨との結合を妨げるため、せっかくの治療が無駄になることも。 - 口臭や歯の着色
加熱式でもニコチンやその他の成分が原因で、口臭・変色の原因となります。
■ まとめ ~玉手箱を開ける前に~
浦島太郎は、竜宮城から戻って玉手箱を開けてしまったことで、未来を失ってしまいました。
現代の私たちも、見た目やイメージだけで「安心」と信じ込んでしまうと、健康という大切なものを失ってしまうかもしれません。
“においが少ない“=“安全”ではありません。
加熱式タバコも、しっかりリスクを理解したうえで選択することが大切です。
【リキタケ歯科医院より】
当院では、喫煙・加熱式タバコによる口腔内の健康被害にも注目し、患者さんへのサポートを行っています。