原発 歴史的事実から学ぶこと

「ドキュメント東京電力企画室」という文章を読みました。
著者の田原総一朗さんは、いまどきのひとにはテレビの「朝まで生テレビ」の
自己中心的な司会者と思われているようですが、
我々の年代には、普通のひとは切り込めない”危ない”領域を
自らの身を省みずに突き進んでレポートするジャーナリストのイメージがあると思います。

「ドキュメント東京電力企画室」は1980年に書かれており、
その当時の東京電力、政府、政治家、官僚、大企業
そしてアメリカ合衆国の複雑に絡み合った思惑による
原子力発電所の推進・建設に関するさまざまな事実が記されています。

大きな”国家”という取り組み、”国策”という積極的推進。
長い歴史観からすれば、原子力発電というものの導入は不可避のものであったし、
それによってバブル時代を含めた日本の1980~2010年の経済が成り立ってきたことは、
その恩恵を受けた多くの国民と共に納得すべき事実です。

ただ、その原子力発電を推進してきた、橋本清之助氏が当時から言及していた
”原子力発電推進はファウスト的契約”である
(=原子力という豊富なエネルギー源を得るのと引き換えに、
一つ間違えると恐るべき災害を惹起するという潜在的危険性を抱え込んでいる)
との認識は、今となっては過小評価すべきものではなかったのです。

「ドキュメント東京電力企画室」は 現在、絶版ですが直に再版されるとのこと。
図書館にはあると思いますので探してみてください。
現在の東京電力の対応・広報の仕方の頼りなさが、さもありなんと納得してしまうのです。
このドキュメントから、国民として何を頼りにいかに行動すべきかを学ぶことは多いと思います。