インプラント治療計画の進化

これまでインプラント治療は新器材の開発による画期的な進化を遂げてきました。
特にここ数年における歯科用CTの臨床利用によりインプラントの安全性が大きく向上しました。
- CT普及前(5~10年以上前)
いわゆるパノラマレントゲン写真による2次元の画像により大雑把なシュミレーションを行っていました。
このため、大切な解剖学的所見(神経、血管など)を見過ごしたり、骨質を十分に把握しないままのインプラント埋入治療になっていました。
あくまでも、目安としての画像診断を行っていました。
- CT導入後(1~5年前)
次々と歯科用CTが開発され、より精密な診断を期待する歯科医師の中では、インプラント治療の診断などにおいて歯科用CTが積極的に活用されるようになりました。
CT画像により、3次元的なインプラント治療シュミレーションが可能となり、治療のリスクになる神経・血管への対応が術前に可能となりました。
また、骨形態の3次元的形態や骨質の精密な把握によりインプラント治療の安全性が飛躍的に向上しました。
この時期には、インプラント治療にはCT診断が必須とされるようになり、もしトラブルが起きた時にはCT診断を行ったか否かで歯科医師の責任の問われ方が大きく左右されるようになっていきました。
- ガイドサージェリー導入後(1年前~現在)
CT画像をもとにした治療シュミレーションを行っていても、実際のインプラント治療には歯科医師のフリーハンドによる手術が行われていました。
つまり、シュミレーションを一度歯科医師の頭の中に入れて、その記憶をもとにシュミレーションに近い手術を行っていたわけです。
そこで精密なシュミレーションをそのままインプラント治療に置き換えるために開発されたデジタル技術がガイドサージェリーなのです。
コンピューター上のシュミレーション通りのインプラント治療が精密に施術できるようにガイドサージェリーも日進月歩してきています。
ガイドサージェリーの進化
N社ガイド
サージカルガイドの先進的なメーカーとして最近に至るまで多くの歯科医師が活用してきたシステムです。
しかしながらその欠点として、
- ガイドをスウェーデンに発注するために納期が2週間以上かかり、費用もかさむ。
- CT画像のみを頼りにステント作成を行うため、CT画像上のアーチファクトや誤差をもステントに取り込んでしまい、ステントを使用するために患者さんの口腔内での事前の調整が必要で、まれには再作製となる。
- 口腔内に金属が入っている場合には、アーチファクトにより作成不能になることがある。
以上の欠点のために実際のインプラント埋入では誤差が大きく出ることがありました。

【NEW】ストローマンサージカルガイド
N社など他メーカーの欠点を克服すべく開発されたシステムで、CT画像のデジタルデータと口腔内模型のアナログデータを併用・合成することでCT画像のアーチファクトの影響を全く受けず、精密な適合性を持って信頼性の高いステントの位置づけが可能となりました。
ストローマンガイドサージェリー(SGS)システムの流れ
Straumann ガイデッドサージェリー 治療手順


- マスターモデルは患者さんの状態を示すもので、スキャンプレートやサージカルプレートの製造の基礎となります。
- スキャンプレートは専門の技工所で作成され、口腔内の状況をデジタルに正確に置き換えるための機構が組み入れらています。
- スキャンプレートを患者さんに装着してCTの撮影を行います。
- CT撮影により得られたDICOMデータを専用のソフトcoDiagnostiXにインポートし、インプラント治療の計画・シュミレーションをコンピューター上で行います。
この治療のシュミレーションをサイジカルテンプレートに置き換えるデータをアウトプットします。
- Straumann Gonyxを用いて計画・シュミレーションの内容を精密にサージカルテンプレートに組み込み加工します。
- 患者さんの口腔内にサージカルテンプレートを固定し、ガイデッドインスツルメントを使用して、インプラント体埋入を行います。
Straumann Guided Surgery(SGS)システムの利点

- スキャンプレート、サージカルテンプレートの適合の正確です
- ガイドの作製設備:精密顕微鏡に匹敵する構造のGonyxを使用します
- センターラボ:国内の信頼された限定的な技工士が作製してくれます
- コミュニケーション:歯科医師、歯科技工士とともデータを共有して症例検討できます
- 作製時間:国内のため3~7日後にはテンプレートが完成します
- コスト:国内の身近な技工所には発注することで3~5割のコスト減少になります
- スイスの精密時計メーカーが起源である“Straumann”社の精巧な器材

