フッ素による虫歯予防

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フッ素による虫歯予防とは

フッ素は、歯の虫歯に対する抵抗性を強めることが知られています。
フッ素による虫歯予防は、特に子供の虫歯予防の最も代表的な方法の1つです。長年にわたる膨大な研究によって確立された方法であり、その効果も十分に証明されたものです。

歯の表面に塗られたフッ素は、歯に唾液中のカルシウムを取り込みやすくし、歯を丈夫にします。
歯が作られる時期に体内から取り込まれたフッ素は、歯の結晶を緻密にし、内部から歯を丈夫にします。

フッ素のはたらき

歯とフッ素はどのような関わりがあるのでしょうか。
人の歯の表面は、エナメル質でおおわれています。エナメル質は人体の中でもっともかたいところですが、虫歯になると溶けてしまいます。

フッ素はこのエナメル質(ハイドロキシアパタイト)に取り込まれるとフルオロアパタイトという虫歯に強い(溶けにくい)物質に変えることができます。 また成熟していない形成期の歯に対しては、より結晶性の高いハイドロキシアパタイトを生成して強い歯をつくります。

ほかにも自然治癒が可能な初期の虫歯の場合、フッ素を塗ることで治癒を助けることが出来ます。

生態系におけるフッ素

フッ素はその強い反応性から、自然の状態では単体で存在しません。
ですから何らかの物質とくっついて、安定した化合物として存在しています。
フッ素は特別な物質ではなく自然界のたくさんのもの(空気、雨、土壌、水道水、動植物組織など)に含まれています。

フッ素による虫歯予防の種類

フッ素による虫歯予防には、次のようなものがあります。

  • フッ素塗布
  • フッ素入り歯みがき剤
  • フッ素洗口
  • 水道水へのフッ化物添加
  • フッ化物錠剤(日本では市販品はない)

現在のところ、フッ素の利用は、虫歯予防として最もポピュラーな方法です。世界中のほとんどの歯科医がその効果を認めています。
ただし、日本では制度上、フッ素塗布、フッ素入り歯みがき剤、フッ素洗口のみが行われています。

フッ素による虫歯予防の効果

フッ素は大量投与したときに毒性があることと、歯が作られる時期の過剰投与で、斑状歯(褐色の着色歯)が生えてくる可能性があることが、リスクとして挙げられますが、虫歯予防に用いられるフッ素の投与量は、これらの毒性を示す量からみると、まったくの微量です。

このため、現状ではもっともローリスク・ハイリターンな方法であると考えられています。
欧米などでは、水道水にフッ素を添加することや、子供がフッ素の錠剤を内服することは常識となっています。

日本でも歯科医師会や保健所など、多くの機関でフッ素は推進され、また、日本の予防歯科の中心的な学会である日本口腔衛生学会でも、公式な見解としてフッ素は推進されています。
フッ化物を歯面に定期的に塗布することで下のグラフのように虫歯の発生を1/2~2/3に抑えることができます。他の方法と併用することで虫歯の抑制効果が大きくなります。

フッ素の安全性

私たちはフッ素を食べ物や飲物などから自然に少しずつ体内に取り込んでいます。
フッ素は特別な薬品ではありませんので、大量に使用しなければ体に悪影響を及ぼしません。

※フッ素を塗ったからといって虫歯にならないというわけではありません。フッ素は予防手段の一つにすぎません。虫歯予防の基本は食生活、生活習慣に気をつけることです。

当院でお勧めするフッ素の利用方法

歯科医院での塗布

フッ化物歯面塗布(綿球法または歯ブラシ法)

高濃度の2%フッ化ナトリウム(2%NaF)またはリン酸酸性フッ化ナトリウム(APF)のゲルを少なくとも年2~4回塗布する方法です。
高濃度のフッ素が歯面に取り込まれ数ヶ月に渡ってゆっくりと歯全体にいきわたります。
1回15分、2,000円の処置です。

フッ素塗布の手順
  1. 歯をきれいに磨いた後、エアーを吹き付けて歯の表面を乾燥させます。
  2. スポンジなどにフッ素入りの薬剤をしみこませ、歯に塗ります。
  3. フッ素を歯に塗った後は30分ほどうがいや飲食をさけます。(たまったつばは吐き出してください。)
フッ素塗布後の注意点

フッ素塗布は、歯を虫歯になりにくくするためのものです。
但し、フッ素塗布を行ったからといって虫歯にならないとは限りません。フッ素は万能な特効薬ではなく、予防措置の一つであることを忘れないで下さい。
また、フッ素塗布後は、次のことに注意して下さい。

  • 塗布後、最低30分間は、うがいや飲食をひかえてください。
  • 年に2,3回定期的にフッ素塗布を行うようにしましょう。
  • 歯ブラシなどによるブラッシングケアーを忘れずに!!

家庭での塗布(ホームケア)

フッ化物配合歯磨剤(NaF、MPF等)

  • 市販歯磨き粉各種(市販の80%以上に配合されている)日本認可されている最大のものは1500ppm
  • プロスペックペースト(GC、900ppm)など
  • 1回約1g(小豆大)使用

フッ化物ペースト(フッ化第一スズ)

  • ホームジェル(キシリトール配合)
  • ジェルコートF(クロルヘキシジン配合)など
  • 歯ブラシ後、適量を歯ブラシに取り1分間歯を磨きその後水を使わずに唾液を吐き出す。
  • 30分間は口をゆすいだり、飲食を行わない方が効果的です。

フッ素洗口(フッ化ナトリウム)

  • ミラノール
  • 毎日法:0.05%(250ppmまたは450ppm) 週5日
  • 専用ボトル+薬剤6包(約4ヶ月) 1,000円
  • 追加の薬剤 3包 400円

※200mlの専用容器にミラノール顆粒1包(1gまたは1.8g)を入れ水を加え洗口液を作ります。
適量(5~10ml)を口に含み30秒間うがいをします。30秒たったら液を吐き出します。

フッ素洗口の使い方
  1. フッ素洗口は1日に1回、できるだけ就寝直前に行う。その後飲食しないで就寝。
  2. 洗口用コップは使用したら水洗して保管。
  3. フッ素洗口中、飲み込まないように注意。 誤って大量に飲み込んだ場合牛乳を服用させ、その後歯科医院に連絡、医療機関で処置。
  4. フッ素洗口剤がなくなったら歯科医院で定期 検診を受け、追加のフッ素洗口剤を購入。
  5. 洗口液がカビがはえたり異臭がしたりしたら、捨てて新しいものと交換するよう指示。